国内において団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会になる2025年。医療現場にも多大な影響を及ぼすことが懸念され、「2025年問題」として、様々な対策が検討されている。超高齢化社会の到来とともに看護師の医療・介護現場での需要はさらに高まり、2025年には196~206万人の看護師が必要だと推測されている。

今後ますます必要とされ、業務もより専門化している看護師だが、人材不足や看護師の過労、離職の問題は改善されていないのが現状である。キャリアの浅い若手看護師が2001年、2007年と連続して過労死する事件が起きており(認定はいずれも2008年)、それを受けて日本看護協会が始めた調査によると、キャリアの長い看護師ではなく、新卒看護師の離職率が全国的に高いという結果が出ている。※「2008年病院における看護職員需給状況等調査結果速報」(2009年6月16日)

交代制勤務における23人に1人が過労死危険レベルという「月60時間を越える時間外勤務」を行い、さらに3交代勤務者の2/3が勤務間隔が6時間以下のシフトもあるとしている。とりわけ20代の時間外勤務が長く、疲労の自覚も強いというアンケート結果が出ている。

実際の勤務時間前に行っている「前残業」と呼ばれる業務は、時間外労働、残業とはカウントされず、時間外勤務と見なされていないこともある。しかし、この前残業を行わなければ当日の業務はスムーズに行えないのだ。若手看護師は当然のことながら現場での経験も少なく、こうした負担が重くのしかかる。低賃金の若手看護師は、勤務時間は長くなるが給与には反映されていないというのが現状だ。